長年の謎だった黒ずくめの組織のNo.2、ラム。
その正体が「いろは寿司」の脇田兼則だと確定した瞬間、背筋がゾッとした方も多いのではないでしょうか?
「やっぱりか!」と思う反面、「いや、まさかあの寿司屋が…」という衝撃も大きかったはず。
この記事では、単なるネタバレや答え合わせだけでなく、「なぜ私たちは今の今まで決定打に気づけなかったのか?」という視点から、青山剛昌先生が仕掛けた壮大な”叙述トリック”を紐解いていきます。
読み終わる頃には、これまでの何気ないシーンがまったく違った景色に見えてくるはずです。
なぜ我々は「脇田」を見落としたのか?(3人の容疑者という罠)
正直なところ、私も「脇田が怪しい」と思いつつ、心のどこかで否定していました。なぜなら、他の候補者が魅力的すぎたからです。
- 黒田兵衛: 警察庁の裏理事官という圧倒的な「権力」と「威圧感」
- 若狭留美: コナンさえ翻弄する「ミステリアス」さと高い「戦闘力」
この二人の派手な動きに目を奪われている間に、一番地味な「寿司屋の脇田」が、私たちの死角(ブラインドスポット)に潜り込んでいました。
これは青山先生による見事なミスディレクション(誤誘導)です。
ラムの特徴である「屈強な大男(黒田)」「女のような男(若狭)」「年老いた老人(脇田)」というキーワードをあえて3人に分散させることで、読者の推理を分散させていたのです。
「黒田や若狭の伏線は無駄だったの?」という声も聞きますが、逆です。「彼らが目立ってくれたからこそ、脇田=ラムという真実が隠し通せた」と言えるでしょう。
実はバレバレだった?「脇田=ラム」を示す決定的な4つの伏線
今にして思えば、答えは初登場時から提示されていました。
「脇田兼則」の言動を振り返ると、彼だけが一貫して「組織のNo.2らしい動き」をしていたことが分かります。
1. 初登場時の「強引な接近」(92巻)
脇田は登場するなり、すぐに「弟子にしてくれ」と小五郎に迫りました。一見コミカルですが、これは「組織が警戒する毛利小五郎を、最短距離で監視下に置く」という、極めて合理的な諜報活動です。
2. 「とんだ目に遭った」と左目を気にする(95巻)
事件について語る際、「アッシも昔……とんだ目に遭いましてねぇ」と左目を押さえるシーン。これが最初の決定的なヒントでした。義眼であることを、これ以上ないほど自然に、かつ大胆に示唆していたのです。
3. 決定的証拠「時は金なり」(97巻)
江戸っ子口調の脇田が放った「時は金なりってね!」というセリフ。
これはラムがバーボンに送ったメールの定型句「Time is money!」の直訳です。この瞬間、勘の鋭い読者の間では「脇田確定説」が濃厚になりました。作者からの「もう分かるよね?」というメッセージだったのかもしれません。
4. そして正体確定へ(103巻)
FBI捜査官を追い詰める過程で、ついにその正体が読者に明かされます。コナン(工藤優作)の推理により、これまでの違和感がすべて一本の線で繋がりました。
ラム候補3人は、物語でどういう役割だったのか?
3人の候補者は、単なる「囮(おとり)」ではありません。それぞれが物語を動かす重要な機能を持っていました。
| キャラクター | ラムとしての疑惑要素 | 実際の役割(正体) |
| 脇田 兼則 | 「年老いた老人」 左目の義眼 | 【真犯人】 組織のNo.2 ラム本人。鋭い推理力と小五郎への執着は監視のため。 |
| 黒田 兵衛 | 「屈強な大男」 右目の義眼(事故) | 【対抗勢力】 公安警察のトップ。ラムを追う側であり、読者の目を欺くミスディレクション役。 |
| 若狭 留美 | 「女のような男」 右目の視力障害? | 【復讐者】 羽田浩司殺害に関わる重要人物(浅香)。組織への復讐を誓う、第三の勢力。 |
こうして見ると、脇田だけが「組織の利益」のために動いていたことが浮き彫りになりますね。
読者が気になる「あそこ、どうなってるの?」(FAQ)
ここからは、もう少し踏み込んだ疑問について解説します。
Q. コナンはいつ脇田=ラムだと気づいた?
明確な描写はありませんが、103巻のFBI連続殺害事件前後で確信に至ったと思われます。キャメル捜査官の情報や、脇田の不可解な行動パターンから「消去法」で彼しかいないと判断したはずです。
Q. 「ASACA RUM」のメッセージはどうなった?
17年前の事件、羽田浩司が残した「PUT ON MASCARA」というダイイングメッセージ。ここから文字を抜くと残る「ASACA RUM」は、「浅香(ASACA)=ラム(RUM)」という意味ではなく、「浅香とラム、二人が現場にいた」あるいは「浅香がラムの正体を知る鍵だ」という告発だったと解釈するのが自然です。
Q. アニメでラムの声優が3人いたのはなぜ?
あれは演出の妙でしたね!回想シーンで「大男」「女のような男」「老人」それぞれのイメージ映像に合わせて声優を変えることで、視聴者に「正体はまだ分からない」と思わせる、アニメスタッフのファインプレーでした。
まとめ:ここからが本番!
ラムの正体が脇田だと判明しましたが、物語はここで終わりではありません。
むしろ、ここからが本番です。
- 正体がバレているとは知らないラム(脇田)はどう動くのか?
- 黒田兵衛や若狭留美は、今後どうコナンたちと関わっていくのか?
- そして、因縁深い赤井務武との対決はあるのか?
「答え合わせ」が終わった今だからこそ見える、新しい伏線がまだ隠されているかもしれません。
ぜひみなさんの今後の展開予想もコメントで教えてください!
参考文献リスト
